「明治の仙台箪笥に、新たな役割を。」

明治の仙台箪笥 ビフォーアフター

山形県天童市在住/高橋様/50代男性

ご依頼主様より、二度目の大切なご縁をいただきました。

数年前の再生依頼から続く、信頼のバトン。 今回のきっかけは、仙台のご実家にある箪笥の「和箪笥診断」でした。

1. 地下倉庫に眠っていた「本物」の格

無料出張にて伺った先で目にしたのは、長年地下倉庫に保管されていた明治期の仙台箪笥。

湿気による腐食、木地の傷み、そして広がるカビ。保存環境としては、決して良好とは言えない状態でした。

しかし、金具に触れた瞬間、指先からその「格」がはっきりと伝わってきました。

分厚く重厚な鉄。鋭いタガネの切れ味。深く、迷いのない彫り。 「これは、絶対に遺すべき箪笥だ」 職人としての直感が、そう告げていました。

2. 「住み替え」という転機を、再生の好機に

ご高齢のお母様がマンションへお引越しされることになり、大きな課題が浮上しました。

元のサイズは幅120cm。限られた現代の住空間に収めるには、あまりに立派すぎたのです。

そこで私たちがご提案したのは、「幅120cmから68cmへのコンパクト再生」でした。

3. 歴史を継承する、緻密な再設計

単に小さく切るだけではありません。明治の職人が打った金具の質、そのタガネの痕跡こそがこの箪笥の歴史そのものだからです。

  • 縮尺設計: 全体の意匠バランスを崩さず、68cmの中に美しさを凝縮。

  • 金具の再利用: オリジナル金具をすべて活かし、一つひとつ丁寧に再配置。

  • 木地の再構築: 腐食した下部材を刷新し、カビを根絶して健やかな状態へ。

縮尺に合わせ、伝統の均衡を保つ作業は、まさに再生職人の腕の見せどころです。

4. 家具から、家族の「祈りの場」へ

再生した箪笥には、新たな役割が与えられました。 その上には小さな仏壇が置かれ、引き出しには仏具やご先祖の記録が大切に納められます。

かつて収納家具だった箪笥は、時を経て、「家族の祈りを支える台座」へとその姿を変えました。地下倉庫で傷みかけていた歴史が、現代の住まいで再び凛と佇む。

家具を捨てるを、なくす。 命を、もう一度宿す。

暮らしの形は変わっても、そこに私なりの「用の美」が、形を変えて生き続ける。

私たちはこれからも、家の歴史を次代へと繋ぐお手伝いを続けてまいります。

ヤマヒョウ家具修復家

「よみがえれ、時代箪笥!」
日本の古箪笥に魅せられること52年…地域文化や民衆の知恵から誕生した美しき和箪笥は100年を経てた現代でも私達を魅了し続けています。

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