明治の衣裳箪笥 ビフォーアフター
東京都足立区在住/山口様/40代男性
山形のご実家の蔵二階。
そこに遺されていた数棹の時代箪笥の中から、
形見分けとして選ばれた一棹。
明治期の衣裳箪笥です。
■ 経年が刻んだ歴史
長い年月を経て、その姿には確かな「時間」が刻まれていました。
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無数のキズや汚れ
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金具のサビ付き
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強く残るショウノウ(樟脳)の臭い
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用材の伸縮による引き出しのガタツキ
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スムーズに開閉しない不具合
「暮らしの中で再び使いたい」という願いとは裏腹に、経年の傷みがその思いを妨げていました。
■ 残すもの、整えるもの
お客様は仰いました。 「このキズは、我が家の歴史そのものと理解します。」
表面に現れた経年の痕跡は、単なる劣化ではなく、家族の時間を語る証。そこには深い愛着と敬愛がありました。
私たちはその想いを尊重し、単なる「修理」ではない「再生」を目指しました。
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経年のキズは“美化”という視点で活かす
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色付け補修で整えたうえで塗膜で閉じ込める
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金具のサビは丁寧に除去
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ショウノウ臭は可能な限り除去・衛生的改善
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引き出しの精度を調整し、滑らかな開閉へ
「歴史は残し、機能は現代水準へ」 そのバランスを、職人の手仕事で徹底しました。
■ 再び、使える家具へ
再生後、引き出しは静かに、滑らかに動きます。 金具は本来の力強さを取り戻しました。
経年の風合いはそのままに、今の暮らしに心地よく迎え入れられる状態へ。 形見の箪笥は、思い出の象徴から**「日々使う家具」**へと戻りました。
私たちの想い
家具を捨てるを、なくす。 命を、もう一度宿す。
カタチを変えずとも、役割は再生できる。 そこにあるのは、私なりの「用の美」です。



























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