昭和初期の茶箪笥 ビフォーアフター
山形県上山市在住/阿部様/50代ご夫妻
大切に使い続けてきた家具だからこそ、
「これからも使っていきたい」——
そんな想いから、今回の修復再生は始まりました。
ご依頼いただいたのは、古民家に暮らす50代のご夫妻。
かつてお武家様が暮らしていたとされる住まいに佇む、昭和初期頃の小ぶりな茶箪笥です。
この箪笥は、ご主人のお母様が生前に一度修復を施されたもの。
代を超えて受け継がれ、日々の暮らしの中で大切に使われてきました。
しかし年月とともに、塗装の傷みや建付けの不具合が目立つように。
住まいの改修工事をきっかけに、
「この先も使い続けていくために、今きちんと整えておきたい」
というご決断に至りました。
ガラス戸の内部には、違い棚や小抽斗が設けられ、
本来は“見せる収納”としての役割を備えた茶箪笥でした。
仕様から推測すると、もともとは中がよく見える通しガラスが用いられていたものと思われます。
しかし、過去にガラスが割れてしまった際、
飾る用途よりも日常の使いやすさを優先し、
中が見えにくい波状ガラスへと交換された経緯がうかがえます。
その選択には、当時の暮らしや価値観が色濃く表れており、
実に興味深く、そしてどこか温かみを感じさせてくれます。
今回はあえてこのガラスを新しく交換するのではなく、
ひとつの家族の歴史として、そのまま活かすこととしました。
修復では、傷んだ塗膜の再生と建付けの調整を中心に行い、
素材本来の風合いを活かしながら、落ち着きのある艶と深みを取り戻しています。
新しく作り替えるのではなく、
これまでの時間を受け止めながら、これからの暮らしに寄り添う姿へ。
再び整えられた茶箪笥は、
古民家の空間に自然と馴染み、静かにその存在感を放っています。
家具は、ただの道具ではなく、
家族の時間を受け継ぐ存在です。
これからも使い続けたい家具がある方は、
ぜひ一度ご相談ください。





















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