カタチを変えて、想いをつなぐ。~母と娘のバトンタッチ~

昭和初期の仙台箪笥 ビフォーアフター

宮城県仙台市在住/米谷様/60代女性

昭和初期に製えられた三つ重ねの仙台衣装箪笥。
豪華な手打ち金具で知られる伝統的な仙台箪笥の意匠から、次第に東京様式へと移ろいゆく過渡期の一棹です。

仙台箪笥の特長である良質なケヤキ材、そして取手の座金に見られる意匠は受け継ぎながらも、全体の構成や金具の配置には、時代の変化が色濃く表れています。

ご依頼主は60代の女性。
本箪笥は、亡きお母さまの嫁入り箪笥として誂えられたもので、母亡きあとも大切に受け継ぎ、長年ご自宅で使い続けてこられました。

しかし、用材に使われているケヤキ材は、長年の環境変化により大きく“暴れ”、反りや歪みが顕著に。
引き出しの開閉も困難な状態となり、不便さを感じながらも「思い出があるから」と、ごまかしながら使い続けてこられたと伺いました。

さすがに限界を迎え、
「この箪笥を、これからの暮らしでも使える形にしてほしい」
という想いから、この度、修復再生のご依頼をいただきました。

今回の修復では、オリジナルの三つ重ね構造を見直し
下部の引き出し二杯分と、上部の引き違い戸を廃し、構成を大胆に再設計。
箪笥本来の材と金具を活かしながら、現代の住まいに無理なく馴染む姿へとリメイクしました。

設置場所は、ご自宅の玄関正面
家に入るたび、家族と来客を迎える場所で、
母の記憶とともに、新たな役割を担う存在として生まれ変わっています。

―― 捨てるのではなく、形を変えて、命をつなぐ。
和箪笥が、再び暮らしの中で息づく一例となりました。

ヤマヒョウ家具修復家

「よみがえれ、時代箪笥!」
日本の古箪笥に魅せられること52年…地域文化や民衆の知恵から誕生した美しき和箪笥は100年を経てた現代でも私達を魅了し続けています。

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