再生と共に新たな居場所へ
山形県天童市在住/Tさま/60代女性
長年、お母さまが大切にお使いになっていた桐箪笥。
お母さまのご逝去を機に、いったんは不用となりましたが、
「この箪笥には母の手のぬくもりがある」と、娘様が受け継がれることになりました。
ご依頼主様からは「できるだけ風合いはそのままに」とのご希望をいただきました。
経年による乾きや色合いは、お母さまの暮らしを物語る大切な記憶。
私たちは、その美しさを損なうことなく、割れや損傷の大きい部分を丁寧に修復し、
全体の調和をはかりながら再生を施しました。
内部には、かつて着物収納用のお盆式引き出しがいくつも設けられていましたが、
今回は暮らしに根ざす使い勝手を考慮し、すべてを撤去。
代わって、楽譜を立てて納められるよう、本棚式に棚を設置し直しました。
お届けした際、ご依頼主様がぽつりとおっしゃった一言。
「おばあちゃんが久しぶりに家に来てくれたみたい。」
その言葉に、私たち職人も胸が熱くなりました。
大切な人との思い出が息づく箪笥。
時を超えて、次の世代の暮らしへ──新たな命を吹き込むお手伝いをさせていただきました。


























この記事へのコメントはありません。