昭和中期の茶箪笥ビフォーアフター
山形県山形市/鈴木様/30代ご夫妻
一戸建ての建て替えを機に、先祖が長年愛用してきた昭和中期の茶箪笥を再生しました。
新築のしつらえは全室が和風モダン。リビングの一角に、再び息を吹き返した茶箪笥が穏やかに佇みます。
ご依頼者のご要望は、「ヴィンテージ感をのこした風合いにしてほしい」というもの。
人工的な艶感を抑え、用材の木目を冴え出るように活かすため、塗装仕上げにはオイル塗装を採用しました。
既存の金具は真鍮製。長い年月の中で生まれた緑青(ろくしょう)はそのまま残し、
時を重ねた金具の風合いと木肌の表情が、互いに引き立て合うように仕上げています。
また、ガラス部分は新しく交換。現在では製造されていない透明な2mmガラスを使用しました。
幸運にも、知り合いのガラス屋さんにわずかに在庫が残っており、今となっては貴重な素材を用いることができました。
お届けの際、ご夫妻が思わず声をあげて喜ばれた瞬間——
その驚きと笑顔こそ、職人として何よりの喜びであり、
「もう一度、命を宿す」という想いが報われる瞬間でした。
家具は使われてこそ味わいが増す。
修理して使い続ける美しさは、お子様への“無言の教養”であると、私たちは考えています。

























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