住み替えに伴う和箪笥の再構成事例
山形県山形市在住/三澤様/50代ご夫妻
50代のご夫妻からのご依頼。
現在のお住まいから市街地への移住を決断されたことが、今回のご相談のきっかけでした。
長年暮らしてきた住まいには、
ご両親が愛用してきた箪笥、そしてご先祖から受け継がれてきた衣裳箪笥が残されていました。
いずれも役目を終えているように見えながら、
何一つ処分されることなく、その姿を留めてきたものです。
その価値と、これからの活かし方を見極めるため、
当社の「和箪笥診断」をご利用いただきました。
和箪笥診断士がご自宅へ伺い、
製作年代・用材・構造・保存状態を確認しながら、
再利用の可能性についてご提案を行いました。
その中には、奥様の婚礼三点セットも含まれていました。
「両親が吟味して持たせてくれた嫁入り箪笥。
捨てるには、あまりにしのびない。」
一方で、新居はクローゼットなど収納設備が充実しており、
従来の箪笥としての役割は求められない現代的な住まいです。
ご夫妻との対話を重ねた結果、
“残す”ためのかたちを見直すことに。
① 奥様の婚礼箪笥の一部を、ローチェストとしてリメイク再生。
② 明治期の山形衣裳箪笥の一棹を、幅を縮めコンパクトに再構成。
明治期の箪笥は、
かつてお祖母様がご先祖を偲び、修復を依頼された形跡が残るものでした。
世代を越えて手が加えられてきた一棹です。
今回はその想いを受け継ぎながら、
現代の暮らしに寄り添うサイズと用途へと整え直しました。
コンパクトに再生した箪笥の上には、
小さく仕立て直した仏壇を置く予定とのこと。
ご先祖への敬意と、これからの暮らしが、
一つのかたちとして共存する再生となりました。
箪笥は、ただ残すだけでは活きません。
使われてこそ、価値を持ち続けます。
「残すか、手放すか」ではなく、
「どう活かすか」。
その選択肢を見出すことも、私たちの役割です。
新居に設置された、
①リメイクした婚礼箪笥、
②コンパクトに再生した時代箪笥。
ぜひ、その姿をご覧ください。
お届けの際、ご夫妻が見せてくださった嬉しそうな表情。
その光景が、何より印象に残っています。
この瞬間に立ち会えること。
それこそが、修復士として携わる喜びであり、
次の仕事へと向かう大きな励みとなっています。
形を整えるだけでなく、
想いが受け継がれていく瞬間に立ち会うこと。
それが、この仕事の本質だと感じています。
















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