昭和期の衣裳箪笥 メンテナンス
山形県山形市在住/加藤様/40代女性
和箪笥診断士が見極めた希少な意匠。経年美化を閉じ込め、現代の暮らしへ
■ ご依頼の経緯
ご依頼主(50代女性)の母のご実家(山形県河北町)で大切に保管されていた、一棹の大きな時代箪笥。 時を重ねることで生まれた木目の表情や、深みのある枯れた風合い、長年の経年美化を大変好まれ、「今日の暮らしの中で再び利活用したい」という温かいご想いから当店にご相談をいただきました。
■ 当店「和箪笥診断士」による見極めと考察
お預かりした箪笥を和箪笥診断士が精査したところ、「明治後期・北関東地方で作られた衣装箪笥」であることが判明いたしました。
一見するとシンプルな北関東特有の作風ですが、注目すべきは最上段引き出しにあしらわれた飾り金具(錠前金具)です。北関東の箪笥の金具は比較的シンプルなものが多い中、この箪笥には「仙台箪笥」を強く彷彿とさせる、非常に大型で絢爛な金具が使用されていました。
さらに、引き出しの前板には贅沢にケヤキ材が使用されており、当時の職人やオーダー主が「仙台箪笥の上質さ」を強く意識して仕立てた特別な逸品であることが伺えます。
明治後期の北関東で作られたこの箪笥が、なぜ山形の河北町まで渡ってきたのか――。 当時の物流経路を辿ると、関東から開通間もない鉄道で山形駅へ輸送され、そこから奥羽本線で神町駅へ。神町駅からは荷車に揺られて河北町へと運ばれてきた……そんなロマンあふれる情景と、当時の人々のこだわりや息遣いが目に浮かびます。
■ 手仕事による修復(リストア)のポイント
お施主様が惚れ込まれた「経年の味わい」を大切にしながら、現代の住環境で快適かつ清潔にお使いいただくため、細部まで工夫を凝らして作業を行いました。
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経年美化を閉じ込める特殊コーティング 長年の歳月が作り出した唯一無二の風合いや深みのある表情をそのまま守り、未来へ残せるよう、表面には「経年美化を閉じ込めるコーティング」を施しました。しっとりとした品のある艶感が蘇っています。
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汚れ・臭いを除去する丁寧な洗浄と衛生面への配慮 時代箪笥特有の長年の汚れや気になる臭いを根本から取り除くため、徹底した洗浄・消臭・衛生処理を実施。お洋服や大切なものを安心して収納していただける状態へ整えました。
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引き出しの開閉具合と機能性の復元 木材の収縮や歪みによって固くなっていた引き出しは、職人の手で細かく調整。当時の趣はそのままに、日常使いでストレスなくスムーズに開閉できるよう機能性をしっかり高めています。
■ 完成と納品
綺麗になりすぎず、100年以上の歴史を刻んできた重厚感と温もりはそのままに。清潔感と実用性を兼ね備え、現代のフローリングのお部屋にも美しく調和する一竿として生まれ変わりました。


























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