再生たんすがリビングの主役

我が家の生き証人

山形県山形市在住/高橋様/親子(母・娘)

山形県西川町~豪雪地に眠っていた、先祖の嫁入り箪笥。

山形県西川町。
冬には深い雪に包まれるこの地で、
長年暮らしてきたご家族が生活の利便性を考えて町外への移住を決断されました。

移住に当たり、親族一同で古民家の家財整理を進める中で
屋根裏から現れた一棹の時代箪笥。
それは、ご家族が大切に使われていたものでした。

年月を重ねた木肌には深みが宿り、金具には錆が浮かび、
引き出しの開閉もままならない状態。
けれども、その佇まいには、確かに暮らしの記憶が宿っていました。

「このタンスをもう一度使えるようにしたい。」

そう願ったご親族の親子が再生を決意。
そして、私たち家具のヤマヒョウに修復のご依頼をいただきました。

私たちは、単なる修理ではなく、
「想いをつなぎ、次の暮らしに馴染む」ための再生を目指しました。

◎木目を活かす
古い塗膜を丁寧に削り剥がし、木の美しさと温もりが引き立つような風合いに…。
深い色合いと艶が空間に静かな存在感を添えます。

◎金具の錆を落とし、風合いを再現
黒金具は一枚一枚、手仕事でサビを除去し、古色の風合いを再構築。
時代箪笥らしい重厚感を保ちつつ、品のある仕上がりに整えました。

◎引き出しの滑りを調整し、実用性も向上
現代の暮らしに「使える美しさ」を実現しています。

そして今回、再生を終えた箪笥は
新たな住まいのリビングに静かに収まりました。

白い壁と明るい床に囲まれた空間に
深い木の色と黒金具が見事に調和し、
かつて屋根裏に眠っていた姿からは想像できないほど
現代的で洗練された佇まいへ。

家族の想いと職人の技が交差し
「家具」という枠を越えて新しい命が吹き込まれた一棹です。

和箪笥の再生は、過去を懐かしむだけの行為ではありません。
それは「これから」をつくる、大切な選択肢のひとつ。

誰かの記憶が宿った家具が
また誰かの暮らしのそばで息づいていく
その橋渡しをこれからも丁寧に続けてまいります。

ヤマヒョウ家具修復家

「よみがえれ、時代箪笥!」
日本の古箪笥に魅せられること52年…地域文化や民衆の知恵から誕生した美しき和箪笥は100年を経てた現代でも私達を魅了し続けています。

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