「これは捨てられない。」
山形県山形市在住/ワタナベ様/40代ご夫妻
ご夫妻よりご依頼いただいたのは、
ご主人のご実家に遺されていた一棹の時代箪笥でした。
空き家となったご実家で遺品整理を進めるなか、
埃をかぶって静かに佇んでいたその箪笥が
ひときわ目を引いたといいます。
長く使われていなかったこともあり
木肌はくすみ、金具には錆が見られましたが
どこか懐かしく温かみのある佇まいに
ご夫妻は「これは捨てられない」と感じたそうです。
「もしかすると、曾祖父の代から使われていたものかもしれない」
そう語るご主人の声には、確かな記憶と家族の歴史への想いが滲んでいました。
再生にあたっては材の風合いを活かしながら
現代の暮らしにも調和するよう丁寧に仕上げました。
木地は削り直し、深みのある拭き漆風の塗装でほど良い艶やに整え
金具は一つひとつ外して手作業で再着色。
脚元にはアイアン製の四つ脚を新たに設け
空間に軽やかさと現代的な表情を加えています。
「大変満足です。イメージ通りの仕上がりでした」
再生後、ご夫妻はそう笑顔で語ってくださいました。
いま、この箪笥は新居のリビングに置かれ
収納力抜群のサイドボードとして活躍しています。
ご先祖が大切にした家具が新しい世代の暮らしに再び息づく
そんな橋渡しのお手伝いができたことを私たちは心から嬉しく思っています





この記事へのコメントはありません。